今日までのEC業界の歴史

私は2005年にネット商社に勤めていました。

EC業界はiモードでメールマガジンを送る時代でした。
当時は薬事法が緩く、「2週間で体重が○kg落ちる」「シミがなくなる」など過激な煽りでガンガンやって、1配信で3000個売れていました。そのうち薬事法が厳しくなり、勤めていた会社は薬事法違反で社長が逮捕され、倒産。

次に出てきたのがオウンドメディアをはじめとした広告プラットホームです。
メディア自体が特徴を持ちはじめ、「コンテンツSEO」という考え方が確立されました。「コンテンツSEO」の中で枠売することで商品とリンクさせることが通販として主流になりました。

「オズモール」は女性を対象としたアダルト商品の販売で成長した会社です。
女性顧客のメールアドレスを大量にストックしていたので、化粧品などをクロスセルに掛けることで売上を伸ばしました。

そしてネット広告代理店(サイバーエージェント・セプテーニなど)が登場し、Google・Yahooでの広告業が始まりました。「CPA」はこの頃にできた言葉です。当時のCPAは0円に近いものでした。

CPA(Cost per Action)とは「顧客獲得単価」を意味する略語。
広告費100万円をかけて獲得したユーザー数が1万人であれば、CPAは100円となる。

競合が乱立してくると「重要キーワード」「SEO」を掲げるWEBマーケティング屋が出てきました。
また、「LTV」の考え方はこのあたりから始まります。

LTV(Life Time Value)とは「顧客生涯価値」を意味する略語。
取引を開始してから終了するまでの期間にどれだけの利益をもたらしたかを示す値。以下のように算出する。
LTV=(平均購買単価x購買頻度x継続購買期間)ー(新規獲得費用+顧客維持費用)

継続的な購入ありきとなるこの仕組は定期購入サービスに採用される。
原価3000円・利益2000円で5000円の商品があるとする。
CPAを5000円と設定した場合、2.5回の購入で行って来いの形になる。
更に黒字にするために契約を6ヶ月縛りとすることで最小単位でも確実な売上となる。
顧客の関心を煽る初回価格500円などの極端なキャンペーンもこの仕組であればリスクとならない。

単品通販屋で何百億、何十億みたいな会社というのは、広告獲得費用と商品原価と定期購入の縛りをガチガチにやって回していたわけです。
初回500円オファーで釣り上げるけどユーザー側からすると6ヶ月は止められないみたいなそういった構造で成り立っていたところに消費者契約法・特定商取引法による締め付けがあり、定期購入サービスも下火となりました。
ライザップの前身である豆乳おからクッキーの「返品あり」などの施策はこの過渡期をうまく乗り切った知恵です。

ひとつは薬事法、ひとつは消費者契約法。
EC業界は常に法律と戦ってきた歴史があります。

EC業界は100%とはいわないけど金儲けとしてやってきた、伸びてきた背景が目立ちます。
「本当にいいもの、いいメーカーのものが売れる」ではなく「売り方を知ってるやつが勝ってきた」業界とも言えます。

いい加減呆れてきたました。

広告費用を一切かけず、いい商品を適正価格で売りたい。

適正価格とはメーカーがきちんと利益を取ることができてキャッシュフローがきちんと回る構図で原価がちゃんとしているもののこと。

流通をやってきた自分としては、「俺のフレンチ」「俺のシリーズ」とかのように消費者のために商品原価を上げればいいというものではないと考えます。
原価率60、70でやっているから働くスタッフが疲弊する(人件費が安い)。
回転率勝負だから料理人は腱鞘炎にすぐなるし、そういう問題になっています。すべてが使い捨てになっています。

ECでいうと商品を育てる概念がない=商品は使い捨て
法人格は目をつけられたら畳む=使い捨て

本当にお客様・ユーザーのことを思って商売をしていない15年位の時代があります。
そういう経験の中で適正なもので商売をしたいとなった時に行き着いた答えは「売らない」ということ。
知る人にだけ知ってもらって商品を愛してもらい、売り急がない形での挑戦に乗り出しました。

writer

改革家:阿部泰孝

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